院長コラム

病気とワクチンのことや、日々感じたことを綴るなだクリ院長のコラムです。

  • 2014.05.19

    経皮感作

    Vol.12

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    G, Lack. J Allergy Clin Immunol 2008;121:1331-6

     

     

    これは、食物アレルギーの発症機序を示す仮説の図です。

    卵、ミルク、ピーナッツなどの食物が皮膚に触れることで食物アレルギーが誘導され、

    一方、食物を口から摂取することで食物アレルギーを抑制するというものです。

     

     

    これまで、食物への感作は、口からの摂取を通して起こると考えられ、食物アレルギーを予防するためには、その食物を食べないことが重要であると考えられてきました。しかし、近年の動物実験、ヒトでは炎症のある皮膚にピーナッツオイルを外用していた幼児にピーナッツアレルギーが多いこと、アジア、アフリカの妊娠期、幼児期よりたくさんのピーナッツを食べる国ではピーナッツアレルギーが少なく、同時期に除去している欧米ではピーナッツアレルギーが多いことなどから、この仮説が現在支持されています。

     

     

    食物(母乳に含まれる微量のもの)が皮膚(特に顔面の湿疹)に触れることで食物アレルギーが誘導されるということは、逆に言うと、湿疹をしっかり治療しておけば食物アレルギーの発症を防げる可能性があるということになります。

     

    そのため、乳児期の湿疹を可能な限り早期(生後3ヶ月まで)に治療することが食物アレルギーの予防のために重要となります。

     

    実際、乳児湿疹や乾燥肌の診断で不十分な治療により皮膚の状態が悪いと、生後3ヶ月頃から卵、ミルク、小麦などへの感作を認めます。

    そして、皮膚の状態が悪ければ悪いほど、たくさんの食物への感作を認めます。

     

    湿疹を認めるお子さんは、早めの受診をお願いします。

     

     

     

    *感作とは、体内でアレルギー反応の準備ができてしまうことです。

     

     

     

     

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